0と1の反復横跳び

デジタルな仕事とアナログな趣味の記録

親指トラックボーラーがKensington SlimBlade Proを買ってみた

僕がコンピューターを触り出してかれこれ20年は経つ. そのうちMacintoshユーザーになってから10年ほど経つが,そのほとんどをMagic Trackpadとトラックボールで過ごしてきた.たまにThinkPadを使う際,TrackPointユーザーに擬態することもあるが,やはりトラックボールなしのコンピュータライフは考えられない.

特にWindowsMacLinuxといったOSの垣根を超えながら,ほぼ同じ操作感を維持できるというのは重要で,普通のマウスやラップトップのタッチパッドではどうしても作業にならない.

僕はLogicoolのM570もといM575という機種が好きで,所謂親指トラックボールという種類になる.筐体に右手を載せた際,ちょうど親指の位置に球がくるタイプだ. 自宅はもちろん,学校や職場にも専用のトラックボールを一個ずつ置いている.料理人の包丁,野球選手のグローブみたいなもので,エンジニアのトラックボールといっても過言ではない.

さて,そんな私がなぜ今更になってトラディショナルな中央に球が来るトラックボールを,それも大型の球を備えたモデルを購入したのか.

一つは腱鞘炎ぎみになってきたからだ.

今までも日に10時間弱コンピュータを触っているような人間だったので,あまり気になることはなかったのだが,仕事でコンピュータに向き合うようになってから,どうも調子が悪い. 実は指に限らず,頭痛や耳鳴りもするので,慢性的なストレスではないかと思うのだが,とにかく右手が使い物にならないのでは話にならないので,解決策として大型球のトラックボール導入を決めた訳だ. (ちなみにキーボードの導入も考えている.Vimないしターミナルと睨めっこすることがほとんどなので,極端なキーバインドのキーボードの方が使いやすいのではないかということがある.あとこれは自宅での話だが,Macintoshのキーボードはレイアウトこそ完璧なものの,ストロークが浅いので,指にダメージが入りやすいのだ)

もう一つは,派手なポインティングデバイスを使いたくなったからだ.オフィスではFilco Majestouch2のUSテンキーレスとM575を置いているのだが,いかんせん味気がない.周りにすごい年季の入ったスクエア型モニターを何枚も並べたり,茶色くなったHHKBを愛用している人がたくさんいるので,もっと個性を出したくなったというのがある.

そうと決まれば,まずは店頭で触ってみるのが定石だ.美容院のついでに吉祥寺のヨドバシカメラまで足を運んだ.

基本的にKensingtonのものしか買う気はなかった(し,他にないと思う)ので,Expert Mouseと今回買ったSlimBlade Proを触ってみる. まず,Expert Mouseは妙に角度が立っていて使いにくかった.パームレストをつければ問題ないと思うが,あいにくパームレストは展示されていなかったのだ.あと,スクロールリングの動きが渋くなっており,耐久性に不安があった.

対してSlimBlade Proは,角度が浅いのが特徴だ.パームレストなしで問題ないと思う.手のひらを被せるように置けば自然に使うことができると感じた. また接続方法がUSB有線(Type-C),2.4 Ghz無線,Bluetoothと複数存在するのが魅力的だった.コンピュータというのは気分屋なので,たまにマウスの接続が切れたりする.そういった際,業務では時間を無駄にしないためにも有線に切り替えたり,Bluetoothを切ってUSBドングルを挿して対応するといったバックアップが不可欠だと思うわけだ.

もう一点,バッテリー充電なのが魅力的だった.個人的に単三のデバイスは好きじゃない.なのでType-Cで充電できるに越したことはないため軍配が上がった.

あと,二者を比較したときに発売日がSlimBlade Proの方が新しかったということも挙げられる.やはり今時のデバイスは無線関係の設計がしっかりしていると感じるため,SlimBladeの方が適切だと感じた.

ということでヨドバシで買って帰ろうかと思ったのだが,念の為にAmazonで価格を見ると限定モデルが通常モデルより2000円弱安く売られていたため,こちらを購入した.なお通常モデルは球が赤くなっており,Amazonモデルは黒いという特徴がある.もう一台買う際は比較も兼ねて通常モデルにしようと思う.

さて,実際に家に届いて設置してみた.

見た目に関してはブラックのMacBook Airとの相性もよく非常に満足だ. またM575とフットプリントを比較すると,縦横ともに2倍ほどのスペースを要求されるが,これは致し方ない.

使用感としては,やはり人差し指と中指で球を転がすことに慣れていないので,細かい動作(例えば右クリックをして,メニューの項目を選択するなど)は詰まってしまう.ただ大きい動作(ウィンドウの移動など)は違和感なく行えると感じた.

また肝心のスクロールについて,SlimBlade Proは物理のスクロールリングがない.そのため球の周りのリングに薬指を引っ掛けて,回すことで本体の方でカチカチというクリック音を鳴らしてスクロールを実現する.

これはイメージとして昔のiPodに備わっていたクリックホイールのようなものだ.親指か薬指のどちらで操作するかの違いでしかない.

まだ使い出して数時間だが,小気味良いクリック音が作業を楽しくしてくれる. Excelの操作を行う際,どういった具合になるかが不安だが,これは慣れしかないだろう.

また今時のマウスなら当たり前のページ戻し・進みのボタンは,メインの左右クリックの奥にあるボタンをソフトウェアで設定することができる. そのためほとんど違和感なく使用できる.またボタンを複数同時押しすることで,ショートカットを実行することもでき,Macintoshユーザにとっては非常にありがたい仕様となっている.

当分自宅のMacintoshで体を慣らして,いい頃合いを見計らって職場用に追加で購入したいと思う.

素直にいいデバイスだと思うので,一度触ってみて欲しい.