0と1の反復横跳び

デジタルな仕事とアナログな趣味の記録

下北沢SHELTERでライブを観てきた

僕は生粋の音楽バカだと自負している. 父親と実家にあった大量のメディアおよび機材のせいでお陰で,レコード以外のソースとビンテージギター以外は受け付けない体になってしまった.

さて,最近は『ぼっち・ざ・ろっく』なる作品にお熱である.(以下ぼざろと記す) 女子高生がバンドをやる王道ストーリの作品なのだが,キャラクタの描写やアニメ化時の曲の作り込み等が注目を集めた結果,国内外で非常に人気を博しているらしい.

僕も高校の時に軽音楽サークルでバンドをやっていたので,共感できるところが非常に多く,気がついたら単行本とCDとバンドスコアが置いてあった.(ちなみに後藤ひとりじゃないけれど,限界社会人になって過去の淡い記憶を刺激するものに触れたかったのかもしれない)

閑話休題

2年くらい前からレコード収集にハマっており,所有枚数もそろそろ200枚の大台に載ろうかといった具合である. CDやサブスクと比較した時に,アナログの音源というのは所有する歓びや作品としての雰囲気が圧倒的だと感じている.

しかし悲しいかな,人間はより強い刺激を追求したくなるもので,ちょっとマンネリ化してきたのも事実である.

そこで2023年は生で音を感じようと思い,国内外,インディーズから超大御所まで計3回ライブに足を運んだ. 箱もアリーナクラスのところから,渋谷CLUB QUATTROのような中規模ライブハウスまで三者三様といった具合で,非常に満足のいくものだった.

さて,先のぼざろは下北沢を舞台としている.その再現度は凄まじく,まんま下北沢といった具合である.個人的には本多劇場周辺の作り込みが非常に凝っていると感じた.

下北の中でもSTARRYなるライブハウスを中心として話が展開していくのだが,ミーハーな僕はこのSTARRYのモデルとなったライブハウスに行ってみたいと思ったのだ.

それは下北沢SHELTERというライブハウスである.

ライブに行きたいという心理はスバリ”ミュージシャンに会いたい”だと思う. 情に訴えかける歌詞を唄うヴォーカル,複雑な旋律を奏でるギター,正確なリズムを刻むリズム隊...それを生で感じたいからこそ,僕はライブに行く.

なので所謂聖地巡礼だったとしても.ライブハウスに行く以上は何か目当てのミュージシャンの演奏を観たいと思ったので色々追っかけていたのだが,ついにチャンスがやってきた.

laylaofficial.jimdofree.com finlands.pepper.jp

Apple MusicでDigっていると,結構インディーズのミュージシャンにヒットする.その中でもこれは今時のロックサウンドでかっこいいなと思ったのがこのレイラとFINLANDSだ.ポップなんだけど体の奥底からエネルギーが湧いてくるような音を奏でていてとても気持ち良い.

正直,彼らのこと(メンバーとか使ってる楽器とか)は全く知らなかったけど,それを生で見れるのがライブの醍醐味だと思い,8月末の金曜,定時に上がってライブを観に井の頭線に飛び乗った.

下北の街は昼夜で大分雰囲気が変わる.昼は老若男女,皆それぞれの遊び方をしているが,夜は如何にも音楽好きといった人種が増える.駅前の喫煙所には若い人がたむろし,楽器を持った人も多く見かける.

そんな下北沢の街並みを横目にSHELTERに足を運ぶ.並び始めたのが割と早かったので,まだ数人しかいなかった. ぼざろの影響か,聖地巡礼をしにくる人が多いのだろう.写真撮影に関する注意書きのビラが貼ってあった.ライブを観にきたのだから堂々とすれば良いのだが,なんとなくこそっと写真におさめる. おお,作中の絵面ままじゃないかと感心しつつ,今日のライブ情報を眺める.

よく考えたら今年行ったライブは全てソロライブだったので,対バンは初めてかもしれない.

そんなことを考えていると,人も大分増えてきて,スタッフのお姉さんにチケット番号順に入場するよう促される. 自分も含め,ほとんどの人がインターネットで事前にチケットを買っていたようだ.

当たり前だが,チケットと別にドリンク代が必要だ.大体5-600円といったところか.当たり前だが釣り銭が出ないように崩しておこう.

そうこうしてるうちに自分の番号がきたのでチケットを見せ,ドリンク券をもらう.

階段を降りると,まず,まんまSTARRYといった感じでびっくりした.バーカウンタもPA席も,ステージもそっくりだ.ちょっと想像よりキャパがデカかったように思う.

さて,バーカウンタでハイボールに引き換えてもらう.僕は始まる前にさっさと飲み干す派だ.邪魔だし,ちょっと酔いが回るくらいが楽しい.

入ってから確信したのは,6~7割くらいがぼざろを観た聖地巡礼勢ではないかということだ.割と若い男性が多かったし,何より外国人が結構いた. 開演をぼさっと待っていたら,隣の韓国人の男の子に「今日はなんのバンドなの?」みたいなことをGoogle翻訳で聞かれた.

技術の進歩すげーと感心しつつ,エセ英語で適当に教えてあげる.ちょっと歓談してみると,J-POPが好きで,夏休みの旅行で来たとのこと.やっぱりぼざろを見て来たんだって.すごい人気なんだね.

さあ開演の時間がやってきました.会場が暗くなり,演奏がはじまる. この瞬間がたまらない.

バンドの色が出る瞬間だ.観客を虜にするにはどうするか.プロの技が光る.

こういうところはレコード,アナログ盤と近いものがあるかもしれない.作品をどう聴かせるか,聴いて欲しいか,考えて考え抜いた末の結論,覚悟.そういったものが前面に出てくる.

今回最初に演ったのはFINLANDSだった.2者のうち,よく聞いたバンドだったのでちょっと楽しみだった. 知ってる曲も知らない曲も,美味しくいただいた.

このバンドは塩入さんというフロントマンのワンマンプロジェクトといった感じなのかな?スマホ越しに聞く感じだとそういった印象が強かった.

でも実際に生で観ると,その方向性は間違っていないけれど,リズム隊とリードギターと上手く演っているのが伝わってきて面白かった. あと個人的にフェンダー好きなので,ギターがジャズマスターと(多分)ストラトキャスターを弾いていて嬉しかった.ジャズマスターの音は本当にエロいよ.

次にレイラの番がきた.今回の主催で,”喧嘩”という対バンイベントは5回目とのこと.サイトを見ていたら,前回はtricotと演ったらしい.すごっ.

www.youtube.com

(この動画,ギターが頭おかしくなるくらいかっこいいので見てみてほしい.)

さて,予習だとレイラは割と歌詞で訴えてくるバンドかなと思っていた.で,実際に聴いてみると,概ね正しい.だが演奏のエネルギーはすごいものを感じた.まずドラムの音が外に漏れるんじゃないかというくらいデカくてびびった.次にギター.ドラムがでかいから隠れちゃうんじゃないかと思ったけど,主張激し目でいい.あとリードがジャズマスターで音がエロかった.ベースも最近の流行なのか割と主張が激しくてよかった.

こんな感じで幸せな数時間を過ごした.どちらのバンドも各々の色をはっきり出していて,対バンの良さが出てたと思う.

まあ,飯レポと音楽のレポはやっぱり難しいので,ぜひ読者の皆さんも足を運んで自分の身体で味わってきて欲しい.ということで締めたいと思う.

最後に.僕は割とサブカルチャーな人間で,それこそコミケとかアキバにもよく通った方だけど,年を重ねるごとに海外の人が増えていると痛感する. これは素敵なことで,日本のフォロワーが増えるのはいいことだ.類友じゃないけど,もっとたくさんの人に日本文化に触れて欲しいと思う.

だからこそ,親切にしてあげよう.ヘッタクソな英語でもいいし,Googleを使えば翻訳できる.まあ積極的に行く必要はないと思うけど(僕も苦手だし),機会があったら色々話してみると面白いです.