さて,山下達郎がラジオでコメントをしてから早1日,予想以上にお怒りの方が多くいらっしゃるように見受けられる.
仕方がないと思うし,それは個人の自由だ.色んな意見が存在することが大切だと思う.
その反面,個人的に面白く,腑に落ちる意見を発信されている方もいらっしゃる.
確かに達郎氏は独自の世界に引きこもっていると言えるかもしれない.「自室に閉じこもって、身の回りを自分の好きなものだらけにする、そこに執着する、というあり方は、1980年代から90年代にかけてとてもカッコよかった」はそうなんだけど、その世代にとってそれは「静かな革命」って認識で戦って、世界をひっくり返した話になってることもあるので、そこまでセットかな
— 柳樂光隆 《Jazz The New Chapter》 (@Elis_ragiNa) 2023年7月9日
本は書かない,テレビには出ない.武道館でライブはやらない. じゃあ意見は発信せず淡々と音楽を作っているだけなのかというとそうではなく,自身の作品やラジオを通じて発信をする.
これはまさに武士道を体現した意見ではないだろうか.切腹に近いものを感じる. 小指を落とすといってもいいかもしれない.さすが唐木さん。なるほど、山下達郎の人生最大の「ご縁」と「ご恩」は小杉理宇造氏とのそれに違いない。その恩に報い、義理を果たすため、矛先が小杉親子には向かないようにする。故人であるジャニー喜多川と自分のストーリーだけを語ったのは、そういう配慮からかもしれないですね。 https://t.co/bdDjbUjl4k
— kentarotakahashi (@kentarotakahash) 2023年7月10日
(精神的にも,身体的にも)自分自身を差し出すことで,ケジメをつける.
興味深い.
さて,今日は僕がなぜ山下達郎に惹かれるかを考えたい.
それは究極の利己主義を体現しているだと考える.
自分のやりたいことをとことんやる.自分の利益にならないことは一切やらない.
言い過ぎな気もするが,まさにこれだろう.
とにかく自分の理想の音楽を作りたい.音を,表現をしたい.
それが彼の原動力であり,今の彼を創造した全てだろう.
よくラジオやライナーで語っているが,とにかく音を追求したいというのは有名な話だ.
ファーストアルバムのCIRCUS TOWNではわざわざ海外でレコーディングをするくらいだし,POCKET MUSICは新時代の音を,制作環境を追い求めて全部打ち込みで作ったくらいだ.
何かを極めること,それに惹かれるのだろう.
そのためには興味のないことは極限まで排除する. だが,恩は忘れない.仇で返すような真似はもっての外だ.
ロックであり,武士道を往く.素晴らしい.
僕は資本主義の観点から見ればただの労働者に過ぎないし,生物学的な観点から見ればエントロピーの一部に過ぎない.
だけどコンピュータ設計者の端くれとして技術を極め,利己的でありたいと思う. そして拾ってくれた会社に対するご恩を忘れないように仕事ができれば,何か見えてくるものがあるのではないか.
そんなことを思いながら始まった今週であった.