0と1の反復横跳び

デジタルな仕事とアナログな趣味の記録

シニカル青二才

僕はセル画のアニメが好きだ。

あの独特な雰囲気がたまらない。

線や色付けに人情味を感じるというか、まさにRAWだと思う。

特に好きな作品は所謂ポストモダンSF。例えば攻殻機動隊とかパトレイバーAKIRAだ。 (これらがSFなのか?はさておき。)

今更語る必要もないくらいの名作だし、秘められたストーリーやメッセージ性というのは散々議論されてきたから置いておこう。

僕が好きなのは数十年前の人々が近未来に想いを馳せていたということ、そしてその近未来と今(過去も含め)の差異をなぞっていくことだ。

今の東京はパトレイバーで描かれていたほど再開発されているのか? 攻殻機動隊で沢山出てきた電子デバイス技術がどのくらい現実のものになっただろうか?

そういった無為な事を考える時ほど贅沢なことはないだろう。

さて、先日ジャパンモビリティショーに行ってきた。

昔で言うところの東京モーターショーだ。

なんだか東京という都市の格が下がったような気がするけれど、きっと気のせいだ。

これは自動車業界の各社団体が一堂に会するイベントで、新型車はもちろん未来の自動車を堪能する場なのだ。

僕は自動車が好きな方なので、昔から親に連れられて行っていたし、今回も知人と誘い合わせて行ってきたわけだ。

結論から書くと僕は素直に楽しめなかった。現代人が描く未来を見て凄く羞恥心を覚えた。共感性羞恥と言ってもいい。

まず、(僕が考える)今の自動車業界のトレンドを整理したい。

一言で言えば、クリーンな自動車だろうか。 人に優しく、地球に優しく。 決してグリーンウォッシュなどとこぼしてはいけない。

事故のない世界の実現のために自動運転を進めたい。だがエンジンを主体とした機械のままでは難しい。なので全て電子化してついでにEVにしてカーボンニュートラルもとい環境問題と絡めよう。

きっとそんなことはないと思うけど。

僕が楽しめなかった理由は単純で、車はうるさくて臭くて自分で運転する面倒な乗り物だから好きなのに、それをぶち壊されたからなのだが、もう一つあった。

それは、現代人が未来を描くことの滑稽さにあると思う。

今の資本主義社会(特に日本)は、豊かなのが当たり前である。 だが成長の限度というのは薄ら見えていて、将来的に豊かであることを捨てる必要がある。

それでも、社会を回すこと=生存の基本的条件である資本主義社会では、無駄である(ように見える)ことをバカ正直に実行しなければいけない。

それが自動運転であり環境問題である。

考えてみてほしい。本気で人や地球を想うなら、自動車なんか作るのやめたらいいのだ。みんなで原始時代に戻るべきだ。

でも自分は儲かりたい。だから自動運転そしてカーボンニュートラルを言い訳にバカ高い乗り物を売りつけよう。

そういう意図が見えるのが嫌だ。そしてそれを平気で実現するために向かっている業界が、社会が嫌いだ。

そもそも考えてみてほしい。資本主義とは金を稼いで金を使うのが美徳である。

なのに稼いだ金で車を買うのではなく、カーシェアをしよう。これは社会主義じゃないのか?

負のモードに入ってしまったら最後、ディストピア世界を想像する現代人がアホに見えてきた。

ふと想う。過去にも僕のような人間はいたのだろうか。 バブルで経済が上向きの時、会社が倒産することを考えた人間はいただろうか。

こんな悩みを抱えてしまう自分ってまだ青いなぁ…

そう感じた秋の夜長だった。