先日インターネットで下記のようなニュースを読んだ.
あのマイコンボードのArduinoが新作を発売するというものだ. 今回発売されたのは,いくつか存在するラインナップでも主力のUNOシリーズの新作だ. 大きな特徴は搭載されているメインチップがAVRからARMに変わったことだろう.
それも日本最大手のIDMかつロジック屋であるルネサス エレクトロニクスのARMプロセッサが搭載されているらしい.
お値段も税込3000円ちょっと,1日残業をやればペイできる金額なので何も考えずにポチった.
Arduinoには非常にお世話になった. 僕が初めて触ったマイコンボードはArduino UNO R3だったし,所謂電子工作を初めてやったのもこのボードがきっかけだったと思う.
まあ大したコードもプロジェクトも作ったことはないのだけれど,それでもコンピュータマニアの端くれとして色々なことを学んだと思う.
さて本題だが,この新型Arduino UNO R4には果たして日本製のプロセッサが載っていると断言して良いのだろうか?
そもそも日本製とは何なのか.
- 日本の会社が製品企画を立ち上げた
- アーキテクチャが日本の会社によって開発された
- 日本に主力の設計部隊が存在した
- 日本の前工程ファブでチップを作った
- 日本の後工程ファブで封止をした
この上記の項目の中で,どれなら日本製と声高らかにアピールできるのだろうか.
個人的には2つ目のアーキテクチャ開発,最低限このくらいのレベルから日本製と呼べるのではないかと思う. 今やコンピュータアーキテクチャとはただの制御装置でしかない.高額なフィーを払うARMコアをやめ,RISC-Vでローコストにという流れが存在するのはそういう背景からだ.だがIPビジネスという観点からみると,どの国を背景に持つ会社が儲かるか,というのは大切だと思う.
1つ目の企画だけではダメだろう.確かに企業活動が国境関係なしにグローバルに展開されるようになって久しいが,残念ながらものづくりではないと僕は思う.
3つ目の設計部隊が日本に存在するというものだが,もし仮に企画が海外の会社だとしても,実際に汗を流したのが日本人ならそれは日本製ではないだろうか.
4,5つ目は半導体ビジネス特有の表現になるのだが,実際のチップ(回路)を作るのが前工程,そのチップを使って半導体製品を製造するのが後工程だと僕は解釈している. そう考えると最終的な仕掛品が海外だったとしても,チップという素材が国産ならそれは日本製と言って差し支えないのではないか.逆もまた然りだ.
とにかく定義を突き詰めるとキリがない.ましてや最終的な”マイコンボード”という製品はイタリア製なのだから.
ということで総括に入る. 日本の企業の販売しているマイクロプロセッサが,世界的なマイコンボードに採用された.それだけで十分だろう.
最後に,ボードが届いたら何かベンチマークを流してみたいと思う.せっかくなのでAVRとバトルさせるのもアリだ.